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■スピーカの逆起電力

アンプの音を議論する時、スピーカ負荷ではインピーダンスが変化すること、逆起電力が発生することなどで、
アンプそれぞれで固有の音になると言う人がいます。その人たちにその逆起電力ってどのくらい?と質問しても
明快な答えが返ってきたことはありません。
その逆起電力の大きさを知らないで話をしても埒があきません。
そこで逆起電力の大きさを測定することにしました。下に構成を示します。

信号としてはWG.exeにより100Hzの4波オン8波オフを使いました。4Ω純抵抗が負荷時の波形が赤色の線で
波高値が8.9Vなので出力電力は10Wです。
スピーカに流れる電流は電流センシング抵抗20mΩにおける電圧降下より計算で求めました。
ピーク電流は比較的電流が安定する3波目より求めました。逆起電流はオフ波形の期間のピーク電流より求めました。
結果は薄青色の線です。スピーカは純抵抗ではないので、電圧波形と電流波形で位相のズレがあります。
逆起電圧は差動アンプにより4Ω純抵抗負荷時の波形とContour 1.1(公称インピーダンス4Ω)の波形の差分より求めました。
結果を濃青線で示します。逆起電圧は0.02V程度と小さな値でした。
逆起電流は0.65A程度なのでアンプの動作において逆起電力は気にしなくてよいという結論になりました。

コンター1.1と38cmウーファの逆起電力の周波数依存性を次図に示します。

このように逆起電力は小さいという結果が得られたのは、測定に使用したアンプの出力インピーダンスが
次図に示すように非常に小さいからです。

このように逆起電圧、逆起電流は小さいので、通常のアンプのパワー設計で逆起電力は余裕で吸収できます。
良くスピーカからの逆起電力は非常に大きな値なので、電源の強化が必須という人が多く
実際とても大きく重いアンプを購入される方がいますが、逆起電力には効果が無いと思われます。

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