■忠実度とは
●忠実度とは(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より)
回路や装置など一般の信号伝達系において,出力に得られた信号が入力のそれに
どの程度似ているかの目安。
忠実度の一般的な定義は明確でないが,その信号の利用される目的などを考慮して,
系の必要とされるいろいろな伝達特性をはかり,それらを総合したうえで判断する。
●オーディオにおける忠実度
▲正弦波による一般的な評価
アンプなどの仕様書には必ず載っており、客観的にアンプの忠実度が分かる尺度です。
主な評価項目は、周波数特性、ひずみ特性、出力特性、S/Nなどです。
しかし、昔から「音楽信号は正弦波より複雑で、正弦波で評価しても音は分からない」
「人間の耳は測定器より優れ、正弦波を使った測定値では分からない何かの違いを人は識別できる」
などと教育されて来ました。
しかし、数十年前に客観的な音の評価としてブラインド(ABX)がまじめに行われ、
音が変わると評価される物が、全く識別できず音が変わっていないことが明らかになりました。
ブラインドとそうでない場合と何が違うのか?
そこで、ベルデンはケーブルを交換しましたと被験者を騙すブラインドを行い、
同じケーブルでも、交換したという情報で音が変わって聴こえることを立証しました。
すなわち、人は心理効果だけで音が変わって聴こえる、という事実が明らかになったわけです。
さらに、私が音楽信号を使いアンプの忠実度を求めると、正弦波による評価と良く一致します。
一般の方が音楽信号を用い客観的に機器を評価するのは難しいでしょうし
一々高額機器を購入して評価するのも無駄な行為です。
そこで、アンプなどの仕様書に載っている、正弦波による一般的な評価を参考に
機器を選択するのは非常に合理的な行為です。
▲トーンバースト波、方形波などによる評価
アンプなどを設計、製作した時に行われる測定で、アンプの応答特性、安定度などを評価できます。
注意点は測定において無限大の周波数成分を含むことです。
可聴域はわずか20kHzまでですが、測定に20kHz超える成分まで評価しても音は評価できません。
しかし、この評価はアンプの特性で大きく異なるので、目で見える音が変わる根拠として
騙されている方も多く見受けられます。
音ではなくあくまでもアンプの安定度などに対する評価なので、自作者以外気にする必要はありません。
▲音楽信号による評価
「音楽信号は正弦波より複雑で、正弦波で評価しても音は分からない」
ならば、音楽信号を使い評価すれば、より正しい音を評価できることになります。
アンプの忠実度の測定解析方法
で詳述しますが、図が評価システムの一例です。
入力波形(Aとする)は音楽信号なので正弦波より複雑です。この信号は増幅され出力端子より得られます。
両者はGdB分大きさが違うので、アッテネータ-GdBで同じ大きさとします。その時の出力側の波形をBとします。
もし、A−B=0ならば、A=Bとなり、出力波形と入力波形は全く同じで忠実度100%となります。
しかし、評価には必ず誤差が入ります。また、アンプの性能もピンきりです。
そこで、この差成分が1%以下、すなわち忠実度が99%以上なら、両者の音の違いが分からないので
評価基準としては99%以上としました。