■理想のアンプとは
人それぞれだと思いますが、工学的には入力信号をそのまま増幅し出力できるアンプと言えます。
と言ってもそんな理想アンプは存在しません。どうしても帯域制限があり、ノイズやひずみが付加されるからです。
しかし、オーディオの場合アンプを使うのは人であり、聴くのも人なので、人の聴力で違いを分からないのなら
それらのアンプは同じ音のアンプ、すなわち理想アンプと言ってよいのではないのでしょうか?
そこで、上記を踏まえ理想アンプは音の違いが分からないアンプ、すなわち忠実度99%以上のアンプとしました。
忠実度に関しては他の項目で詳しく説明していますので参考にしてください。
要約すると、以下のグラフに示すように、周波数偏差<0.09dB、位相偏差<0.6度、ひずみ率<1%で
音楽信号で差信号が-40dB以下という条件を満たすアンプを理想アンプとしました。
▲黎明期
詳しくは述べませんが、理想アンプとは程遠い特性のアンプが全盛の時期です。主に真空管アンプで
トランジスタの出現で飛躍的に性能は向上しました。特にNFBをかけたアンプの性能は素晴らしく
現在の測定技術で測定すれば理想アンプといえるアンプが存在していたかもしれません。
ただ残念なことにNFBはかけすぎると音がつまらなくなるというウソを信じる人が多く
そういう理想アンプは認知されることなく、ただひたすら音が変わる、良くなるなど、無駄な時間が過ぎていきました。
▲成熟期
1970年代に入ると非常に進歩的な人たちが現れ、ブラインドなどで客観的にアンプの音を議論できることを示しました。例えばここ
この時期は理想アンプがあるのでそのアンプを使えば音が変わるとかそういう心配せずに使うことができます。
手持ちのアンプでは別項目で紹介しているようにデノンのPMA-390(1991年発売)が理想アンプと分かっています。
それ以前にもあるとは思いますが部品の劣化なども考えられるので実測してから使えば安心です。
真空管アンプはそのデバイスの特性上理想のアンプの実現は困難です。かといって理想アンプを目指して
その性能を向上したとしても、現在の理想トランジスタアンプに近づくことで無意味と言えます。