[ホーム]
LR差測定による、部品、ケーブルなどの音の違い


 アンプで使う部品で音が変わる、内部配線で音が変わる、ケーブルで音が変わるなど、
オーディオでは何を変えても音が変わって聴こえます。
これは心理効果によるもので、オーディオ雑誌、評論家などによる洗脳に大きく依存します。
 しかし、ブラインドでは音が変わらないという結果です。
このおかしな現象をもう少し測定の面から考察します。

「忠実度を求める」では、測定した電気波形の解析結果より、音源データが忠実にスピーカ端子まで再生できることを確認でき
ほとんどのケースで音が変わらないことが明らかになりました。
 しかし、この解析方法は難しく一般の方にはハードルが高い方法でした。

そこで、もっと簡単にケーブルの音の違い、部品による音の違いを測定できないかと考え図1の評価システムにより測定しました。
アンプの部品、内部配線などで音が変わるかを調べたい場合は、LRで異なる配線、部品を使います。
ケーブルの場合は、AとBで異なる銘柄のケーブルを使います。



まず、LR全く同じ構成とした場合、スピーカ出力AとBの電気波形は全く同じとなり
その差を測定すれば無信号、すなわち無音になるはずです。
しかし、世の中には完ぺきに同じものは存在しないので、LとRにどれくれいの違いがあれば評価できるのかを考察します。
 まず、LRの信号が99%以上同じであれば、LとRの音の違いは人間の聴力では分かりません。 (詳細はこちら)

 そこで、99%以上同じか、すなわち差信号が-40dBを得る条件を計算します。
 下図は各パラメータの大きさに対する差成分の大きさを示したものです。


 ▲振幅偏差
  差成分を-40dB以下にするためには、比較波形の振幅偏差を0.09dB以下にする必要があります。
 ▲位相差
  差成分を-40dB以下にするためには、比較波形の位相差を0.5度以下にする必要があります。
  入出力波形に位相差が生まれる主因はアンプの周波数特性です。
 ▲ひずみ
  ひずみは差成分そのものなので、-40dB以下にするためには、1%以下にする必要があります。

これら条件をクリアするのは意外に難しく、それらを補正する必要があり、それには計算による解析が必須です。
今回手持ちの2種類のアンプでLR差を測定したところヤマハは-30dB程度と悪く、デノンは-40dB以下と良好でした。
ヤマハはトーンコントロールなどを通さないCDダイレクトが可能ですが、その時バランスボリュームは機能しません。
そこでトーンコントロール有効で測定をしたのですが、おそらくLRで周波数特性が異なり(わずかですが)
L-R間の差信号が期待ほど下がらなかったと思われます。
ただこの-30dBという値は、人間の聴力では違いが分からないレベルなので、今回の方法には使えます。
実験結果はデノンを元に紹介します。

●測定方法(ケーブルの場合)と結果
 まず、アンプの特性を測るために、A、Bともに50円/m程度の赤黒線を使いました。
DVDPより1kHzの信号を再生し、差成分がもっとも小さくなるようにバランス・ボリュームを調整します。
約-45dBでした。
次に、DVDPより音楽を再生します。結果を以下に示します。



結果は青線で差信号は-40dB以下です。
アナログボリュームでの0.1dB調整の困難さ、LRの位相差など、様々な要因を考えると十分良好な結果です。

次にA=赤黒、B=μ-R3(古河電工)の場合を赤線で示します。

注目していただきたいのは、青線、赤線に差がほとんどないことです。
すなわちケーブルが異なっても電気信号には影響がない、すなわち音が変わっていないと分かります。
通常、LとRに異なるケーブルを使った場合、すぐわかる違和感があると言う人たちがいますが
これは心理効果によるものだと明らかになりました。

▲自作好きな人は、LRで異なる部品を使い本当に部品で音が変わっているのか確かめてみたらいかがでしょうか?
測定器のない方は100円ショップのイヤホンをSP端子の+間に接続すれば、LRの信号が大きく異なる場合
大きな音が聴けますので、それでも音が同じか違っているかの判断ができます。


[ホーム]