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システム全体の忠実度の測定解析方法


 図1に示す評価システムは廉価な装置で構成しました。



 音源のデジタルデータとスピーカ端子における電気波形を直接比較することにより、
システム全体の忠実度を求めることができます。
 忠実度が99%以上であれば、人間の聴力が対象なら音源のデータは正確にスピーカまで伝送されていることになります。
(詳細はこちら)

 そこで、99%の忠実度=-40dBの差成分を得るためには、システムにどのような特性が必要かを知る必要があります。
 下図は各パラメータの大きさに対する差成分の大きさを示したものです。


 ▲振幅偏差
  差成分を-40dB以下にするためには、比較波形の振幅偏差を0.09dB以下にする必要があります。
  そこで計算では0.01dB以下となるようにしました。

 ▲位相差
  差成分を-40dB以下にするためには、比較波形の位相差を0.5度以下にする必要があります。
  音源のデータ波形とスピーカ端子における波形の間で位相差が生まれる主因はアンプの周波数特性です。
  周波数が一定のサイン波であればこの位相差を計算で補正することができます。
  いっぽう、音楽信号のように様々な周波数成分を同時に含む場合、計算での位相差補正は難しくなります。
  そこで、外部にアンプの周波数特性を平坦化、位相差の無い特性にするためにLPF、HPFなどの補正回路を追加しました。
  逆に真空管アンプのように周波数特性が非常に悪く、外部回路での補正が難しい場合、
  当然、大きな差成分が出て、音が変わることになります。
  しかし、性能の悪いアンプで音を変えるというのは無意味なので、あくまで忠実なアンプに焦点をあてています。

 ▲ひずみ
  ひずみは差成分そのものなので、-40dB以下にするためには、1%以下にする必要があります。
  DAC、ADCの特性は非常に良く、現在の技術で簡単に0.01%(差成分換算で-80dB)以下となります。
  したがって、今回の評価システムで問題となるのはアンプだけです。
  ひずみ1%を簡単に実現できるのはトランジスタを使ったアナログアンプでNFBをかけたアンプになります。
  真空管、ノンNFBアンプは一般的にひずみ特性が悪くアンプで音が変わるので、ここでは取り上げません。

●STR-DH530(SONYのAVアンプ)の場合  

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